空間デザインは、「場」と「時」と「人」の関係性を、いかに「環境」へと構築していくか、いかに「心象」へと構想していくか...の行為ではないかと考える。そこへの牽引は、実空間へのリアルなリンクによって結ばれる緩やかな関係性のなかで、時空と人間を一体化させ、心地よい経験価値へと惹きつけていく「磁場力」だ。その思考と発想の回路は、「文化の体系」を空間へと翻案し、知覚をフル稼働させ「共感の文脈」へと促す、デザインアーキテクトである。
空間デザインがつくり出していく場の心象、場の気配、場の感性を表象する趣きのある「佇まい」や「設え」さらに自然や時間の移ろいに共生してきた日本文化の美意識にこそ、グローバルな世界では関心が集まる。― “空環”とは空気の環。人の環。地球の環。
公共性を持ち、公共的に人々を受け入れる文化空間のデザインは、景観とともに「場の心象」を醸しだす地域特性と文化特性との交点に見える“図”を連結していくことによって、“地”となる風土環境への連続性が同時に意図されなければならない。
“図”と“地”を現在の観点で編集し、参加する主体と触発する情報と体験する空間が相互に影響しあいながら、ランドスケープからインナースペースへと人々の目的と関心で自由に行動できる回遊空間を展開していく。そこで“人”と環境と施設が“交感”し、イマジネーションを喚起させ、心に響く空間をつくり出していく。
デザインから現出される空間には、モノを含む情報が一体化され「意味→象徴」という形をとる、それが常に三次元的起伏のリズムを体感させることで、はじめて共感を誘う。情報と空間の調和されたシチュエーションづくりである。
ひとつの空間で、ひとつのテーマを繰り広げ、映像、照明、造形、音響の一体化する「メディア装置」によって、人々を「場の気配」に包み込んでいくドラマトゥルギーを構想する。「モノ」と「コト」との関連を示す「文化」の体系が「共感」の文脈をもって、空間化し、知的なおもしろさやエモーショナルな精神的感動を実現させるのである。
空間デザインは、「場」の設定という制約が与えられることが多い。その上に「モノ」を含めた情報の意味と主題を象徴し、具現化するといった多様な与件への解答を求められる。この多様な与件を紐解き、ある定理に基づいて空間表象へと導き「場の感性」を設えていくデザイン行為である。
空間に入った瞬間、その設えの意味あいを直感させるような「モノ」や造形、視覚に対しての訴求力によって、見る側の思考を活性させる。視野の範囲が文脈を連ねながら多様な情報を統合して、空間へと参加する人々の探求する知性、さらに歓心する感覚へとインスピレーションをかきたてる。
Profile:
東京生まれ。
武蔵野美術大学デザイン科卒業。
(株)乃村工藝社アートディレクター職を経て退社。
1983年(株)空環計画研究所設立。
Design Works :
人間博物館リトルワールド・展示デザイン
EXPO'85政府出展歴史館・アートディレクター
江戸東京博物館・展示基本計画
群馬県岩宿博物館・建築、ランドスケープ及び展示空間デザイン
神奈川県大磯町郷土資料館
新宿パークタワーリビングデザインセンターOZONE・基本空間デザイン
トヨタ自動車博物館本館及び新館・展示空間デザイン
電通アドミュージア東京・展示デザイン
west53rd日本閣・建築及び空間デザイン
三菱1号館美術館竣工記念展・アートディレクター等
Award Prize:
朝日新聞社賞
通商産業大臣賞
日本の空間デザイン最優秀賞
マルチメディアグランプリ最優秀賞
商環境設計家協会デザイン大賞など受賞。
Public Official:
-2006年 武蔵野美術大学、東京芸術大学で非常勤講師。
現在 社)日本空間デザイン協会顧問
東京都江戸東京博物館常設展示部会専門委員
公社)映像文化製作者連盟最終審査委員
神奈川県大磯町まちづくり専門家委員
世田谷区産業活性化アドバイザー
登録資格 マイスター商業施設士
Toshiyuki Tanaka
業務内容
公共のミュージアム施設及び企業の広報販促施設の空間デザインの企画・デザイン
商業サービス事業に付帯する空間デザインのアートディクション及びプランニング
上記施設の建築コンセプト、ランドスケープのプランニング
文化施設のリニューアルや再生計画への提案・リニューアルのマスタープラン及びアドバイザリー
空間や環境を演出する造形アート、映像デザイン、情報メディアの企画制作
空間デザイン分野の啓発、指導、コンサルティング、トークセミナー講師
コミュニケーション施設の空間・環境・活動に関わる評論、執筆
会社概要
住所 〒158-0086 東京都世田谷区尾山台1-6-1
TEL 03-5752-5620
FAX 03-5752-5621
Mail
URL http://www.kuu-kan.co.jp
設立 1983年・2月
資本金 28,000,000円
media/著書・掲載
− 左 −
スペースメディアデザイン/田中俊行の仕事 1991/スーパーイコン出版
e-space スペースメディアがつくる、いい空間/田中俊行 1997/六耀社
− 右上 −
JAPAN INTERIER DESIGN (掲載)人間博物館リトルワールド 1983 6月号/インテリア出版
6人のディスプレイディレクション(共著) 1986/六耀社
デザインの現場 1988年 06月号 1988/美術出版社
Museums & Amusement Parks (掲載)人間博物館リトルワールド/横浜開港資料館 1992/六耀社
Expositions & Exhibitions (掲載)国際科学技術博覧会・歴史観 1992/六耀社
− 右下 −
日経アーキテクチュア (掲載)笠懸野岩宿文化資料館 1992 12-21/日経BP社
現代建築集成/文化施設 (掲載)笠懸野岩宿文化資料館 1993/メイセイ出版
JAPAN INTERIOR VOL.3 (掲載)INAX-XSITE 1994/六耀社
デザインの理念と実践 (掲載)田中俊行・空間デザイナー 制作・日本デザインコミッティー 2005/六耀社